71[教員コメント]私たちは、情報に踊らされないように、禁欲的に生きるべきなのか、あるいは情報に踊らされてもなお正気を保てるような、享楽的理性を目指すべきなのか。情報によって、周囲と歩調を合わせて踊らされている人物の、左右に分かれた離れた視線が、アンヴィヴァレントな今日の状況をユーモラスに物語っている。[教員コメント]かつてインターネットの草創期では「情報ハイウェイ」と称して電子が世界中をめまぐるしく駆け巡る様子が喧伝されてきた。この絵で表現されているように情報ビットがあらゆるところにあふれる時代になると、そのようなスピード感は薄れて、情報があちこちにあまねくうごめいているような印象を受けることがある。理想の情報化社会とは裏腹に、そうやってやり取りされる情報はフェイクや■謗中傷をふくんだクリアなものではなくなっている。まさにインターネットは、百鬼夜行の様相を成すようになってしまっている。[教員コメント]一見すると二つの膨らみが組み合わされた抽象的な表現に見えるが、よく見るとそれは日本の古い仮面である「おたふく」のような頬の膨らみであることがわかり、それは誰かの微笑みであることがわかる。タイトルに「拡散」とあるようにどこか現代のネット上のコミュニケーションの状況を示しつつも、どこか狂言のような滑稽さが滲み出ている。[教員コメント]ここで流される”涙”は否定的なモノではなく、人と触れ合うことに依って生まれてくる感動の”涙”だろう。コロナの影響で全てがオンラインになってしまい対面の重要性が重要視されている、その事も関係しているのだろうか?全体をブルー系統でまとめた色彩計画が効果的だ。点描で表現した涙も面白い。まつ毛の細かい描写が全体を引き締めている。情報に踊らされているあまねくインターネット百鬼夜行人に触れ生み出される受け取り繋ぐための涙拡散された彼の笑顔は一つの業界を救う
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