入試問題集2024|多摩美術大学
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100[教員コメント]人物は描かずに、情景だけを描いてあるが、出題の文章からその情景がどうなのかに最も興味が湧いたのだろう。池に浮かぶ蓮の花に乗った朝露の水玉のような宮殿が美しい。水の中から、今まさに狙いを定めて襲い掛かろうとする蛇に、開いた宮殿の扉の■間から覗く槍。SF映画の1シーンの様でもある。[教員コメント]この解答も、人物を描かずに情景のみを描いている。色彩構成としては、絵の具の質感によるタッチで描いている表現が多用されているので、微妙な判定の解答。これ以上絵画的な表現があると減点の対象となる。しかし、不思議な表現力には魅力があり、何か心に残る、心象風景の様な世界観が面白い。[教員コメント]文章から創造する現実的な情景を表現するために、どうしても絵画的な解答が多くなる中、色彩構成を意識した解答が好ましい。中心に三角形の岩山を配した構図も、画面を大きく3分割していて効果的。色彩も寒色系と暖色系を使い分けて、更にセンターに鋭い槍を配する事で、緊張感を演出している。[教員コメント]少ない色数ながら、潔い構成が高評価だった。タミーノの足元のみを描いているが躍動感があり、背後にタミーノを狙う蛇が描かれていて、これからの展開を予感させる。しかし、背後の蛇が大蛇には見えないサイズ感なので、例えば影のみで大きさを連想させる表現などが良かったのではないか。想像させることも重要。

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