入試問題集2024|多摩美術大学
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117[教員コメント]写真のメインとなる被写体ではなく、その周囲、背景のみを切り取り、サイズの大きさに従って、画面中心から四方に広がるグラデーションを作り出すことに成功しています。個々の写真の意味を希薄しながら、イメージの触覚性がそのグラデーションにおいて増幅しようとしています。まだ改善すべき点はあるものの、一般的なコラージュとは異なるその果敢なアプローチは高く評価したいです。 [教員コメント]縦に3つ、横に2列の合計6つの空間が設定され、各空間の密度は高められながら、パースペクティブや編集の違いによるコントラストが強調され、パッチワークのような構成になっています。さらにストライブによる構成で複数の写真を入れ子状にすることでいくつかの空間の間を繋ぐアイデアもとても興味深く、編集力の高さを評価できます。選択Bの科目「コラージュ『写真』」は、これまでの描画を中心とする造形表現とは異質の造形感覚を評価する課題で、写真を選択する感覚や、選択された写真から発想する力、それら写真を編集する力、そして画面に構成する力などを採点対象としています。「面接」では、これまで制作した提出作品を前に何を考えて制作し、大学入学後どのような研究を行いたいのかを面談し、それを評価します。「小論文」では、大学における教養教育を修得するうえで必要な基礎力を幅広く有しているか、自身の考えを的確に文章として述べているか、版画に対する興味、関心の高さがテーマ設定、文脈からうかがえるかなどを評価していきます。[教員コメント]モチーフがそれぞれ持っている素材の特徴を活かし、安定と広がりのある構図を上手く作りだせています。全体的にモチーフをよく捉えていますが、もう少し丁寧にモチーフの質感を鉛筆の種類を使い分けて描き分けていくと、より完成度の高いデッサンになったでしょう。[教員コメント]モチーフそれぞれの特徴を上手く使うことで、リズム感のある構図が特徴的なデッサンとなっています。丁寧に描かれたビールジョッキと布の質感が美しい色調を作り出していることが魅力的です。オレンジの断面はこのデッサンではひとつの見せ場となってくるので、もう少し描き込むと良いでしょう。[教員コメント]柔らかく繊細な描画が光を感じさせるデッサンとなっています。丁寧な描画によって個々のモチーフの質感を捉えようとしている点に作者の姿勢が感じられます。それゆえに全体的にもう少しモチーフの持つ色調を鉛筆の濃淡を活かして描き分ける工夫があるとより表現力の高いデッサンとなるでしょう。総合型選抜では、一般選抜で評価しきれない「能動性」「広い視野と個性」をもった意欲的な人を求めます。新しい表現と出会いたいと思うこと、自分から動こうとする力が自立した表現者としての道筋になると考えています。そして作品と向き合っていくなかで培われていく思考力や持続力が自らの社会性を養うことになります。さらに、高等学校等とも教育的な連携を進めながら、真■な姿勢で制作と向き合う個性豊かな人材の発掘をめざしています。総合型選抜では、選択科目A/B、面接、小論文の三つを総合的に審査します。選択科目では、従来の基本的な描く力を評価する選択Aの科目「デッサン『静物』」とともに、多様な版画技法の一つである写真表現にかかわる力を審査する選択Bの科目「コラージュ『写真』」が設定されています。選抜方針

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