入試問題集2024|多摩美術大学
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17[教員コメント]まず何よりこの油彩作品に強く惹かれた。問題にある「入れもの」が画面中央、波を背景に白の線描きで描かれている。これは問題に対しとてもストレートな答え方であるが、そこで選んだ構図、色彩、描写、この発想が素晴らしかった。二人の人が一緒に水をすくい上げているのだろうか、左右に入る色違いのスカート、中央のオレンジ色の波とその上に広がる空とのコントラスト、それらが美しい色彩とともに丁寧に表現され、絵画としてとても魅力的な作品であった。デッサンも線の表情がとても印象的な作品であった。試験中、なにか風を感じたのだろうか? なぜ? とも思えたが、自分にはこう見えた! ということが画面から伝わってくる作品であった。 [教員コメント]なぜか余白にスニーカーが描かれている。■なデッサンであるが描きたいものは描くのだという意欲が感じられる。人物の描写は自然で、デニムなどの質感の表現は秀逸である。なによりも、今回のデッサンの出題で最も大きなポイントであった、モデルのうつむき加減のポーズの表情がさらりと表現されていて、その場で描くべきものを見抜く瞬発力がうかがえる。油彩においては、その洗練された色彩感覚に目を引かれる。油彩の出題の「入れもの」についての考察が少ししか感じられないのが残念であるが、のびのびとしたタッチや思い切りのいい構図はたいへん魅力的であり、楽しんで描いた様子がうかがえる。 ※デッサン、油彩は同一作者の作品を掲載しています。(文責=日高理恵子教授)(文責=吉澤美香教授)

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