20[教員コメント]キリリと結い上げたポニーテール、生え際の描写とモデルの瞳に室内の緊張した空気が感じ取れる。同じく作者の実力を表す油彩では、明るい外界から画面中央を直線で隔てた室内、カーテンのドレープから美しく差し込む光、さらにプライベートなスペースの中は暖かな電球色に包まれ、観者の視線は開いたページの白さへと誘導される。様々な筆の動きが慎重に残されて、この複雑な構造を持つ画面は、暗室における丁寧なグラデーションにより穏やかに纏められ、小さなディテールからストーリー性をも巧みに孕んでいる、、虫!? [教員コメント]個性とは、意図的に作られるものでなく、自ら(の絵画)を探すうちに自然と現れるものであると思う。またそれは他者との違いを求めることでもなく、結果として違うことが重要なのである。本作品のデッサンでは、いったん描いた画材をナイフの様なもので削り取って、あたかも粘土で塑像するように、プラスとマイナスのせめぎ合いを繰り返しながら、対象に近づかんとする姿勢が伝わってくる。また油彩でも白を基調としたミニマルな色彩の中に、パースペクティブな空間の広がりと、そこに響く音までも感じられ、空間全体が入れものとして表現されている。ここに留まる事なく、新たな自分を開拓し続けてほしい。 (文責=村瀬恭子教授)(文責=小泉俊己教授)
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