入試問題集2024|多摩美術大学
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21[教員コメント]部屋全体を覆っているムードを個性的に捉えているなと思った。パースが不安定なのも油彩と併せて見ると無重力感を表しているように感じられて面白く見えた。窓の逆光でこちらを見ている人も不思議で面白い。 [教員コメント]油彩=部屋の壁に照らされた過剰なまでの光が、見る者の眼をこの世ともあの世ともいえないどこでもない場所へと導いていく。現実的な狭い部屋の中を描いているにもかかわらず、絵を描いている人の姿が幽霊にも見え、床や天井や窓などが無限な宇宙空間を感じさせる。説明可能な物語ではなく、説明不可能な矛盾的表現に魅了された。デッサン=前頭部あたりの背景にある放射状の線。歪んだ壁。人物の形から外れていく激しいタッチの線。それらに、デッサンという再現性を求められたものの中にいながら、再現性の外に出ようとする矛盾的な行為性を感じるのだ。その行為が形而上的な世界を生み出すのである。 [教員コメント]この絵を見た時、はじめは宝石店でディスプレイされた宝石を描いた様に見えたが、よく見ると蛹の様な形だったり奥の空間の位置が安定しなかったりして雲の上の世界にも見えた。魅力的な絵だと思った。 (文責=千葉正也准教授)(文責=千葉正也准教授)(文責=栗原一成教授)

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