入試問題集2024|多摩美術大学
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23[教員コメント]油彩の出題にある「入れもの」をどのように考えたか、それは今回の評価の大きなポイントでもある。素っ気ない家が画面一杯に描かれているが、ここに「入れもの」というタイトルをつけると俄然面白くなってくる。よく知っている現実の家なのか、どこかから借りてきたイメージなのかはわからないが、郊外のどこかで見たことがある中流家庭の家、というかんじである。抑えた色味は人の気配を感じさせず、ここでの内容物は、人間なのか、家財なのか、空気なのか、あるいは想像し難い何か、なのか、捉えどころが無いところが魅力である。デッサンには、ややぎこちない部分もあるが、ボリュームを捉える力と光の美しさを感じた。 [教員コメント]しっかり人物の形を立体的に捉えていて良いと思った。この人が制作する静かなムードやテンポが感じられた。頭部はもう少しだけ画面に入れたら形態を追いやすかったかもしれない。 [教員コメント]この作品を見て1920年代のドイツの新即物主義のペインティングを思い出した。工業製品によって世界が囲まれている閉塞感と、そこで気怠く輝く自然物の色彩はとても平面的に表されていてクールだと思った。窓というメタの要素を入れたのも効果的だったと思う。 (文責=千葉正也准教授)(文責=髙柳恵里教授)(文責=千葉正也准教授)

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