31[教員コメント]炸裂した爆弾の残骸のような粘土作品には、深く抉られた穴のような部分から細かく刻まれた小さな傷跡のような部分まで、強弱を伴う丁寧な造形がされており、戦争の傷跡のみならず作者の複雑な心情も読み取れる表現となっている。選択した記事内容をしっかりと反映しており、自画像同様に明解で力強い作品となった。[教員コメント]自画像の視線が真っ直ぐに鑑賞者へ向けられた特徴的な構成です。首から下のフォルムの捉え方が曖昧ではありますが、ニットの厚みと質感が意識的に表現されており、全体的な構成と細部とが良いバランスで書き込まれ、基礎的なデッサン力の高さが見受けられます。画面下部の曖昧になってしまった表現は、テーマに沿った工夫がなされれば更に見応えのあるデッサンになるでしょう。立体造形もデッサンと同様に細部の緻密な造形がアクセントとなっており、粘土の艶やかな質感と全体のフォルムとが相まって、原初的な生物感を感じさせます。全体的に「女性」というテーマを自分の視点で再解釈し、表現という部分に触れられると更に良かったかもしれません。※立体造形・デッサンは同一作者の作品を掲載しています。[教員コメント]顔面に痛々しい傷を受け険しい表情をする自画像を描きあげた作者は、中東で勃発する戦争の記事を選択し制作を進めた。世界に漂う戦争の暗い影を反映してか、デッサンは顔下面から光が当たり強い影が出るように描かれており効果的である。紋様のように画面全体に描かれた黒々とした亀裂も加わり、目を引く作品となった。
元のページ ../index.html#33