入試問題集2024|多摩美術大学
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34[教員コメント]「世界に誇るニシキゴイ」という記事を選んだ作者。デッサンは水中を想定しているのだろうか。状況の説明とニシキゴイの表現には更に工夫が必要だが、大胆な線の使い方、動きを意識した構成により躍動感のあるとても魅力的な画面を作り出している。立体造形においては、ニシキゴイの形体を単純化しつつ下方向への流れを作り出そうとしたのだと思うが、まったく関係のない別の生き物のようにも見えてきてしまう。形体に対しての更なる検討を行うことで、なぜこの記事を選択したのかについての説得力を持たせられたのではないだろうか。[教員コメント]選択した記事は、近代日本における女性日本画家展覧会の紹介記事である。近代日本画壇と言えば華やかで雅な印象を持つが、伝統性を重んじる近代画壇の中での女性の活躍にスポットが当てられている。デッサン、立体ともに春を感じさせる花や蝶が軽やかな印象を与えており女性性の陽の部分が強調されている。特に立体造形は絵筆から迸る顔料が花に変容していく様子は、やや説明的な描写ではあるが地面から湧き上がるような春風が上手く表現されている。

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