入試問題集2024|多摩美術大学
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51[教員コメント]画面全体から見る側に訴えかけてくるシーン設定と構図のダイナミックさが高く評価された作品です。柑橘の酸味や香りが伝わってくるリアルな描写、力度合いが異なる両手の表現(氷が入ったグラスを持つ手の力強さ、柑橘を絞る指先の繊細な力加減)も巧みで、全てに熟練度を感じる魅力的な秀作です。[教員コメント]濡れたワイングラスを両手で優しく触れているという、繊細なシーンから作者自身のデリケートな一面が感じ取れる作品です。鉛筆が創り出す色幅(色数)では多少の物足りなさを感じるが、最近の傾向で視線を利用した直線での楕円表現(楕円を描かない)が多い中、モチーフに真■に向き合った描写が評価された作品です。[教員コメント]設問の“透明の器”という問いに対しての答えなのか?という疑問は拭えませんが、それを払拭するだけの描写力と画面内に収まらない広がりを感じる作品です。熱さ(湯気)からの影響で生じる些細なシーン描写と、手の甲から感じる力加減に観察力の高さが窺えます。このシーンなら片手のみの描写も頷けます。[教員コメント]透明のボウルを包み込むように持ち上げる手と、もう片方の手で卵を割るという、この設問の制作条件を満たす為に創り上げられた構図の工夫に熟練度を感じます。加えて、上下の手が果たす役割で微妙に異なる力加減の表現も巧みです。ガラスの厚み表現や精度、透明感に多少の難は感じますが力強く描写された作品です。

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