52[教員コメント]「手と透明の器」という設問に対して、複数枚の皿を重ねての描写は非常にユニークで、構図として印象に強く刻まれる作品です。視線を利用しての楕円部(円形皿)の直線的表現にはリアリティ面の不足を感じますが、その透明部を利用した指部の屈折表現には想定ならではの誇張された魅力を感じます。[教員コメント]チャポン、パシャという音と繊細な光。薄いガラスとコルク、加えて水の質感。ガラス部に密着している部分の指先の貼り付き表現と、執拗なまでの作者の繊細な観察力が魅力的です。優しい描写故での若干の弱さは否めませんが、構図も含め計算された画面は、一瞬を切り取った躍動感が満ちている作品です。[教員コメント]手の描写には骨格の捻れや歪みを感じますが、とにかく画面全体から発せられるパワーに圧倒される作品です。作者の画面全体に一切の妥協を許さない集中力を感じます。画面内に前後の空気を感じさせる強弱のある描写や優しい中間トーンの色幅(色数)が加わると、一層良い結果になると思います。[教員コメント]「透明の器」を人気のカプセルトイ(ガチャガチャ)で表現した着眼がユニーク(唯一無二)で、下部に4つのカプセルが重なり合っている状態など、画面構成が非常に印象深い作品です。鉛筆描写に個性(癖)があり、直線的タッチの多用のせいか、画面全体に硬い印象が出ている点は改善点かと思います。
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