入試問題集2024|多摩美術大学
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54[教員コメント]カラフルな複数種の花が配されたイラストに、トレーシングペーパーを貼り、黒の太いペンでトレースしているシーン描写です。トレーシングペーパーの破れや折れの表現、サインペンの樹脂部の艶感、ペン先の濡れ艶、トレースにて記入したブラックライン等々、細部にわたる表現テクニックには熟練度の高さを感じます。[教員コメント]設問に対して“傘”で表現した受験生は複数名いましたが、こちらの作品は一部のみが透明で赤い貼り地とのコントラストが魅力的に表現されている秀作です。円を八分割しての正確な骨格描写とその奥行き、上部の二重になっている布の重なり、畳まれていた際の微妙なシワ跡など、細部にわたる観察力が高く評価されました。[教員コメント]赤い下敷きで赤い線が消える。「透ける」という設問への答えとして、その色現象を利用しながらも、そこに青色や黄色を加えることでの微妙な色変化の描写や、自らが習得した木目や艶表現のテクニックが存分に発揮できているモチーフ表現です。画面全体の色彩バランス、構図バランスにも長けた作品です。[教員コメント]「透ける」の設問に対して、人工物でなく時間経過により朽ちていく“鬼灯”をモチーフにし、その透け感に着目した作品です。鬼灯の細い葉脈が残っていき、中の実が少しづつ見えてくる様、加えて文字通り灯(ともしび)が灯るような暗背景での表現は、作者が創り上げた世界観に見る者を導くような魅力を演出しています。

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