入試問題集2024|多摩美術大学
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67[教員コメント]つるっとした小石が積み上がったような対象を鉛筆デッサンで描くのは難しい。同時に、つるっとした記憶とはどのようなものだろう、とさまざまな想像が生まれ、積み重なって行く。記憶の複数性を、ストレートかつミニマルに表現したことで、深く印象に残る作品だ。[教員コメント]複数の記憶で出来上がった大地を表現しているのだろうか。むしろ生物の内臓のようにも見える。そこにとても小さな断片が浮遊している。この作品でポイントとなるのは、この「浮遊する記憶」のように思える。この小さな記憶はさまざまなことを彷彿とさせる効果を発揮している。[教員コメント]記憶というものが、出来事に紐づくことで「数えることができる」ものだとした時、その基底にある「私の意識」の単一性は揺らぐだろうか。たとえばそれはこの作品のようにねじれて、歪んだ形の中に現れる空■や膨らみのようなものとして、単一で、しかしその変化の中における窪みとして記憶は表れるのかもしれない。[教員コメント]空間を意識した作品だ。意識や記憶が宙に浮かんだ空間的な関係として描かれている。幾重にも重なる突起した物体の真ん中に、紐で縛られた2つのセルのようなものが浮かんでいる。流動的でありながら、なにかの刺激によって起動する「記憶」が、■めいた三次元の図によって表されているかのような作品。

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