入試問題集2024|多摩美術大学
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69[教員コメント]大粒の涙があふれでる瞳の中には人影のようなおぼろげなイメージが描かれている。瞳に映っているのか、それとも眼球に浮かび上がる個人を表すのかと想像が膨らむ。孤独をテーマに大胆な構図と色使いが魅力的だ。 [教員コメント]人は検索エンジンの前で、一番正直になるという。忘れることができないAIやbotの口を思わず塞ぎたくなるのは、どんな人も一度は抱く感情だろう。そんな今の時代の普遍性を、ロボット(機械)と手(人間)、グレーと赤を対比させた大胆な構成で表現した秀作だ。とぼけたロボットの表情が、事態の深刻さを強調している。[教員コメント]孤独と秘密という言葉から脳をイメージした着眼が良い。左半球と右半球の非対称性を用いたグラフィックな表現もさることながら、彩度の高い色彩を使って「攻撃性」を感じさせるなど、考え抜かれた構図も含めて高く評価された。[教員コメント]高度に情報化された社会、その膨大に張り巡らされたネットワークの中で生きる「私」という存在への意識が感じられる。「私」自身もまた細胞や神経によるネットワークによって駆動するものでもある。そこでは社会と個人といったものが非対称でありながらも連続し、つながるものとして見えてくる。押し隠していた本当の自分自身とはじめて対話することができる私の秘密をばらさないで!自身の攻撃性を恐れた怪物は、脳内に引きこもる情報世界に目を閉じ、私自身の意思を、ひとり、つむぐ。

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