開催日時
2021/09/13 (Mon) - 09/25 (Sat) 10:00 - 16:00
※日曜休館
アクセス
JR 横浜線・京王相模原線橋本駅の北口から神奈中バスで約 8 分
または、JR 中央線八王子駅の南口から京王バスで約 20 分
多摩美術大学八王子キャンパス アートテーク 1F
【展覧会会期・開館時間変更のお知らせ】
新型コロナウイルスに係る東京都への緊急事態宣言、及び大学の授業対応方針を踏まえ協議を行った結果、多摩美術大学助手展2021の会期と開館時間を変更する運びとなりました。
<変更後>
会期:2021/09/13 (月) - 09/25 (土)
時間:10:00 - 16:00
フライヤー等に表記されている会期と開館時間は変更前のものとなります。ご注意ください。
ご来館について
諸般の事情により、開館時間等に変更が生じる可能性があります。
感染症対策含む最新の情報は、多摩美術大学アートアーカイヴセンターウェブサイトをご覧ください。
開催にあたり
本展覧会=多摩美術大学助手展は、多摩美術大学の各領域に助手として所属する作家により構成され、その研究成果を示す場として2018年より回を重ねてきました。
昨年度は新型コロナウイルスの影響を受け本学に関わる展示の多くが中止となる中、「なんとかして新たな展示の指針を探らねば」と、助手展から形を変え「TAMABI Trial Exhibition ANYHOW,」の開催へと至りました。
今回の助手展には、副題がありません。
ニューノーマルが謳われる中、もう一度「助手展」としての本質を問うべくこの展示名への回帰を選択しました。
多様な学科に所属する現役の作家群を助手という横軸で繋いだ時に見えるのは、扱うメディアの差異を超えた同時代性でしょうか。もしくは、自分が所属する領域の中で普段無自覚になってしまっているファクターでしょうか。多様な作品を助手展という器の中で展開することで、鑑賞した方に新たな視座を提示出来れば幸いです。
圡方 悠輝
HIJIKATA Yuki
統合デザイン学科研究室
大気の流れを感じてみたいと思った。
都市では安全ネットで覆われた高層ビルを目にすることがある。大気によって揺すられる広大な膜を見るとき、都市の中にいながらも揺れる木々のざわめきを感じる。そこには人工素材でありながら自然物のような美しさがあると思った。
厚さ 0.01mm の硬質ポリエチレンフィルムはこのギャラリー内の空調が起こす空気の対流を繊細に知覚し、空気のダイナミクスによって張り付きと膨らみを絶えず繰り返している。室内の気温が安定しているとき、対流は穏やかになり、フィルムの動きもそれに対応して落ち着き払ったように振舞う。
岡田 雅志
OKADA Masashi
共通教育研究室
在学時代に描いていた風景画の向きを変えてみると、正位置では感じ取れない美を感じた事をきっかけとし、具象絵画から抽象絵画へ移行してゆく。
自己の内面を限りなく掘り下げていき、下書きをせずペインティングナイフを使い油絵具をキャンバスに積み上げてゆく、制作を進めるうちにその形は消え、また作り、そして壊す、言うなれば身体性反射運動により形が連鎖して成形されてゆきます。それは特定のイメージを持たない、行為による絵画である。
ペインティングナイフが持つ筆には出せない偶発性、そして視覚表現ではない行為による抽象絵画表現を模索していきたい。
小野木 貴康
ONOGI Takayasu
プロダクトデザイン研究室
IT技術の普及に伴いテレワークが進み、自宅で過ごす時間が増えることで暮らしの質が重視され始めています。特に子供がいる家庭では、暮らしに対して関心が高く、郊外への移住を考える世帯が増加しています。
従来プライベート空間は屋内のみでしたが、家族の時間が増え、より良い暮らしを目指していく中で、庭もプライベートな空間の一部へ変化していくと考えます。
庭で多くの時間を素足で過ごすライフスタイルに対し、居間・キッチンを庭と繋ぐアプローチを模索し、従来のように隔てるのではなく、内と外をなだらかに繋ぐグラデーションとしました。
足跡が残る珪藻土の床。開放感のある庇。二つの空間をなだらかに繋ぐ扉。自然と触れ合い「庭で暮らす」という新しいライフスタイルにおける「暮らし」と「庭」を”なだらかに繋ぐ”プロダクトの提案です。
柴田 彩乃
SHIBATA Ayano
油画研究室
日々の制作は、日記のようなもので、写真を撮り、絵を描くことにある。
幼い頃から、ある瞬間を永遠に捉えたいような気持ちがあった。すべり台の下に咲く淡紫色の小花はすみれと呼ぶのだと知ったとき、蝉の羽化する姿を公園のすみで見つめたとき、動物園に行くまでの間に入ったスーパーのエスカレーター。特別な瞬間も、そうでない瞬間も、心の中に触れて過ぎ去ることがある。
そして、過ぎ去ったものが現れることは二度とない。毎日、毎時間、毎分、毎秒で、景色も光も気持ちも感覚も、何もかもが変わる。多くは忘却し、別の瞬間と遭遇したときに近しい記憶として蘇る。
二度と思い出さないこともあるだろう。自覚のないまま、忘れ失うことをもの悲しく思う。ずっと、永遠に、できるかぎり、そのままにしておく。消えてしまわないうちに、消えてしまわないために、紙やキャンバスにしまい込んでいる。
鈴木 康太
SUZUKI Kota
統合デザイン学科研究室
初めにパソコンで絵を描き、デジタルデータの画像を一度作成する。その際、ある画像データを一度テキストデータに変換し、内容を書き換えることで作成した「バグ」をモチーフの一部として用いている。
「バグ」は自身の意図とは無関係な情報の破損として表出し、画面に偶然性をもたらす。作成したデジタルデータをもとに現実の絵画に移行していく。
素材には、箔や岩絵具を用いることで無機質な画像データに物質感を持たせている。
この移行作業は長い間スマートフォンやパソコンで作業した後、現実の世界に引き戻されるような、データの世界と現実の世界を出入りする感覚に似ている。
安田 萌音
YASUDA Moeto
環境デザイン学科研究室
herd mentality
[意:群衆心理]
駅ですれ違う人、コンビニで接客してもらう人、宅急便を運んくれる人、私はその人たちの名前を知りません、家族のことも、出身地のことも、好きなことも嫌いなものも、なにも知りません。
彼らには一人ひとり、彼らしか知らない壮大な物語を生きているのでしょう。全員にそれがあるのだと想像すると途方もない気持ちになります。でも、彼らはきっと、朝に起きて、ご飯を食べて、仕事をして、夜に寝ているのでしょう、私とそんなに変わらないはずです。
この作品は一人ひとりが主人公ではありません。集団としての、ある程度秩序だった群衆としての、言ってしまえば少し面白味のないような、そんな物語を想像します。