助手展
多摩美術大学 八王子キャンパス アートテークギャラリー
開催日時
2022/09/05 (Mon) - 09/21 (Wed) 10:00 - 17:00
※日曜休館
アクセス
〒192-0394 東京都八王子市鑓水 2-1723
多摩美術大学 八王子キャンパス アートテークギャラリー
・JR 横浜線・京王相模原線橋本駅の北口から神奈中バスで約 8 分
・JR 中央線八王子駅の南口から京王バスで約 20 分
助手展サテライト
「イメージをおくらせる」
東京ミッドタウン・タワー 5F 多摩美術大学 TUB
開催日時
2022/09/08 (Thu) - 09/24 (Sat) 11:00 - 18:00
※日曜休館
アクセス
〒107-6205 東京都港区赤坂 9-7-1
ミッドタウン・タワー 5F (東京ミッドタウン・デザインハブ内)
・都営地下鉄大江戸線「六本木駅」8 番出口より直結
・東京メトロ日比谷線「六本木駅」地下通路にて直結
・東京メトロ千代田線「乃木坂駅」3 番出口より約 8 分
ご来館について
諸般の事情により、開館時刻等に変更が生じる可能性があります。
感染症対策を含む最新の情報は、各施設のウェブサイトをご覧ください。
開催にあたり
本展覧会=多摩美術大学助手展は、多摩美術大学の各領域に助手・副手として所属する職員有志により構成され、その研究結果を示す場として、2018年度より回を重ねてきました。コロナ禍に突入した2020年度は、展覧会の形を探る「TAMABI Trial Exhibition ANYHOW,」として、また昨年度は、コロナ禍にありながらも“助手展”という形を取り戻す「多摩美術大学 助手展2021」としての開催に至りました。本年度も昨年度の流れを引き継ぎ、2018年度から続く「多摩美術大学助手展」として開催します。
私たちは、助手・副手であると同時に、現役の作り手として、“現在”を敏感に感じ取り生きています。今回作り上げた展示空間には、助手の仕事と作り手の仕事を行き来しながらも、一人の“表現者”として捉える“現在”が、それぞれの表現方法やメディアを通じ、作品という形で存在しています。作品から垣間見える“現在”を、ぜひ鑑賞に来た皆様と共有できれば幸いです。
また、東京ミッドタウン・デザインハブ内にある多摩美術大学TUBにて「助手展サテライト」を同時開催します。「助手展サテライト」も同じく、多摩美術大学の職員有志数名により構成されるグループ展です。個々の作品を往還するテーマを示した作品展を行うことを特徴としています。
同じ助手展でも、性質の異なる展覧会として、多摩美術大学助手展の更なる展開にご期待ください。
石井 慎一郎
ISHII Shinichiro
グラフィックデザイン学科研究室
毎年自分自身の生活の中の「何か」に焦点を当て、情報の記録を可視化する制作を行っています。
毎日誰にでも訪れる「1日」。
とても楽しかったことや、もう全て放り投げたいほど苦痛だったこと。
それぞれ体験する日々や出来事は十人十色です。
どんな経験であっても、時計の針が進むことによって生まれる時間は、我々を作り上げていく情報のピースであり、記憶に刻み込まれる記録です。
自分自身がこの記録を見返したとき、そして鑑賞者が始めた他者の情報を見たとき、
今まで過ごしてきた時間に対して、何かしらの発見や気付きになることを願います。
神谷 紀彰
KAMIYA Noriaki
工芸学科陶研究室
器は不在を許容してくれるものと考えています。なぜなら、最初から空洞を前提に作らなければならないからです。
陶制作の絶対的なルールとしてあるのは塊は焼けないというものです。器ではない例えば人体のような立体物を作ろうとしても、中身は空洞を作らなければいけないのです。
私がやってきた制作は「不在」を前提とした「空洞」を作るということだと思いました。
また「不在」を許容する物こそが器だと考えるようになりました。
また器は何かを容れるものであることは間違いないでしょう。
それならば私は逆に「不在」を容れる「器」を作ってみたいと思いました。
結局は器に何かを容れる人間に興味があります。これを見た人が、私が作った器に何を容れるかに興味があるのです。空虚に過ごした時間でも、別れた恋人でも、もう見ることができない人でも。誰しもが持っている「不在」を容れる器をつくりたいと思っています。
数年を振り返ると自分というものが不在な何年かを過ごしてきた気がします。大きな動きもなくただ生きていたという感じです。その数年も避けることなく時間は経過し、時間という経験で今の私ができあがってしまっていると感じました。服をモチーフとしているのもそこにあります。
私が空虚な時間を過ごしていく日々の中で、それでも服を着て外に出ていかなければならい。空っぽの私を許容してくれるように感じていたからです。
「不在」を許容してくれるもの。それを私は「器」と呼んでいます。
勝木 有香
KATSUKI Yuka
版画研究室
日常を過ごす中で、主に視覚、聴覚、触覚を通して受け入れる情報と予想外の出来事に包まれる環境から、活発さや原動力、壮大さに押し流されるような力を感じる。この感覚を「運動感覚」と捉えている。
その感覚を断面的に切り取ると様々なレイヤーとして「動き」が見える。
この「運動感覚」とレイヤーとしての「動き」を重要視しながら可視化させるために、背景とセル画上のキャラクターで構成しているアニメーションを素材として制作している。
キャラクターが持つ柔軟性やリズムに合わせて、常に変化し続ける曲線をトレースし、画面の中で再構成する。
これらがどのような存在として受け入れられるのかを試みる。
西野 萌黄
NISHINO Moegi
グラフィックデザイン学科研究室
グラフィックデザイン研究室副手の西野萌黄です。
今回の作品は「四門出遊-四苦八苦」
人間は生きていく中で大きく4つの苦しみを目の当たりにします。生、老、病、死。
今作では愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦を作成。
その苦しみは私個人に降り注ぐのではなく全人類それぞれが経験していきます。
今回私はそんな誰もが経験しうる4つの苦しみを仏教に則り3M×3Mで制作。
20年に涅槃図の絵解きを拝聴してから仏教の思想や言い伝えに影響を受け卒業制作では涅槃図(1.8M×4M)を作成。その後仏教の言い伝えや仏陀伝を今世にあわせ伝達してきたいと思い2作目では釈迦様が修行に出るきっかけとなった四門出遊を描きました。今作の中心にはゲームで遊ぶ者がいます。これは自分であり他人です。結局その苦しみは他者からしたら知る余地もなくまた当人も常に”苦”を考えているわけではありません、苦しいことは毎日あるかもしれない、それでもその人生をゲームのように選択し動かしていかねばならない。
また制作する際の色味はビビットなものが多いが実はアバンギャルドから始まり、フランクマルツ、ジャポニズム、70年代テレビアニメ、月岡芳年など構図や色彩は私の好きが詰まっています。
卒業制作を経て第一弾となるm単位の作品ぜひご覧ください。
鈴木 康太
SUZUKI Kota
統合デザイン学科研究室
初めにパソコンで絵を描き、デジタルデータの画像を一度作成する。
その際、ある画像データを一度テキストデータに変換し、内容を書き換えることで作成した「バグ」をモチーフの一部として用いている。
「バグ」は自身の意図とは無関係な情報の破損として表出し、画面に偶然性をもたらす。作成したデジタルデータをもとに現実の絵画に移行していく。
素材には、箔や岩絵具を用いることで無機質な画像データに物質感を持たせている。
この移行作業は長い間スマートフォンやパソコンで作業した後、現実の世界に引き戻されるような、データの世界と現実の世界を出入りする感覚に似ている。