風は光にはこばれて
藤谷 菜美
作者によるコメント
寒くも暑くもない日、そろそろ日が暮れるだろう時に、ごうごうと吹く風。
外に出て、一呼吸し遠くを見ると、腹の中が空洞になり、風がその中を一周してから出ていくような、ゆらりとした心地になる。
そんな日常的な感覚を、非日常的な風景に乗せようと描きました。
担当教員によるコメント
画布の半分を占める緑地に漂う描き手の気配の湿気に気付き、もう半分を占める空には描き手の親密感の湿気が運ばれてくる。タイトルを目にし、改めて絵画の前に立つ。生暖かい懐かしいような風が鑑賞者を誘う。観る者の忘れかけていた遠いところにある感覚や記憶を揺さぶろうと訴えかけてくる絵画は貴重である。常に全感覚を解放し、己に循環させ、体現する。このルーティーンはこれからの藤谷さんの作家としての表現を支えてくれるだろう。
准教授・千々岩 修
- 作品名風は光にはこばれて
- 作家名藤谷 菜美
- 作品情報素材・技法:岩絵具、水干絵具、螺鈿、雲肌麻紙
サイズ:H1640×W3240mm - 学科・専攻・コース
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