夏生まれの私と温室育ちのあなたの折衷案

松下 幸葉

作者によるコメント

『ルールだから』という言葉が世界で2番目に嫌いです。何から何まで知って、そこから自分で選んで、決まった位置に置いておきたい。でもそうするには私以外の全てがじゃまだな。と思いました。
焦れば焦るほど理想とはちがういらないもの達が流れ込んできてしまいます。4年間はとても短い時間でした。でもそれがたった今の私であり、この絵です。
私には才能がありません。そして普通のことが普通にできません。私にできるただひとつのことはやり通すことかもしれないと最近は思い込んでいます。
イメージした曖昧なものを3次元の部屋に組み立てて、それを絵という2次元のイメージの中に閉じ込めなおしてこの絵を作りました。その意味はまだ探し中です。

担当教員によるコメント

松下さんの絵を見るたびに、なんて若者らしい作品なのだろうと思う。彼女のいいところは徹底してやり切るので、見ている側が納得させられる強さを持っている事である。4年間、いつも何か満たされない思いを補う様に描いていた姿が印象的で、つくづく作家体質だなぁと個人的には楽しみにしていたりするのだが。
この散乱している自室に後ろを向いた自画像的な人物がいる空間は、温度や湿度やニオイまで感じられ、ある意味アカデミックでリアルな画面を語っている。これからどんな作品を生み出すのだろうと期待している。

教授・宮 いつき

  • 作品名
    夏生まれの私と温室育ちのあなたの折衷案
  • 作家名
    松下 幸葉
  • 作品情報
    素材・技法:岩絵具、水干絵具、雲母、高知麻紙
    サイズ:H2485×W3333mm
  • 学科・専攻・コース