夜に生まれたもの
ユ ショウショウ
作者によるコメント
ストレスの原因で不眠症になった経験から、夜の方が昼間よりもネガティブな感情を抱きやすいことに気が付きました。そして寝れない時、夜の時間がとても長くて苦しくて、1分1秒に過去の思い出と複雑な感情が入り混じっているので、夜の時間の変化をメインテーマに自分の作品を作ろうと思いました。その変化を1枚ずつ作品で表現しています。夜の7時から朝の4時まで夜の時間の順番で構成しました。加えて、春の花、夏の蓮池、秋の落ち葉、冬の雪、それぞれの季節を代表する要素によって、春から冬までの1年を通じて順番に時間の変化を表現しています。
担当教員によるコメント
10点組の連作はどれも小さな画面の中に、隅々まで繊細なタッチで描かれたイメージがひしめいている。この世界をじっと見ていると、昆虫や動植物、妖精のようなもの、この世のものと別の次元の世界が混在していることがわかる。作者の描いた世界は、どこにも存在しない、作者の心の中に揺らめく夜の世界を描いたものである。この作品を見ていると、不思議と言葉が浮かんでくる。それは、このすべての世界が、精密な点と線で描かれ、その美しい描画を目で追い、読み解きたい気持ちにさせるからだろうか。この作品は、エッチング技法を活かし、それぞれのイメージを克明に描くことで、イメージを読ませるという、銅版画ならではの表現を十分に活かした秀逸な作品となっている。
准教授・大矢 雅章
- 作品名夜に生まれたもの
- 作家名ユ ショウショウ
- 作品情報技法・素材:エッチング
サイズ:各H245×W170mm - 学科・専攻・コース
- カテゴリー