1,2,3,4

鈴木 愛華

作者によるコメント

自分の中だけで決めたコンセプトを元に、画面を構成した。コンセプトは観る人が自由に作るか感じるものであるし、理解せず通り過ぎることもあるはずだ。よって、自分用のコンセプトは自分の中に留めておこうと思う。

担当教員によるコメント

鈴木愛華さんは、4点で構成された卒業制作について、コンセプトをあえて語ろうとはしていない。また、色についてもグレートーンを選択し離れて見た時に、具体的な形態を不明瞭している。それはイメージを密やかに見せる作者の演出ともいえる。描かれている虫や筆、便器等は、一見、無関係であるような図像である。多層化した視点で描かれた絵画空間の中で、これからは、関係性を前提としない物体として存在している。 鑑賞者は、謎の多いこの作品を解読しようと、あれこれと考えを巡らせるだろう。それこそが、作者の意図のように感じている。混沌としたこの世界の中で、今現在ここに存在している現象だけに注目することを提示し、静かにゆっくりと対峙する場を作りだそうとしている。

教授・古谷 博子