親子

遠藤 治美

作者によるコメント

卒業制作に取りかかる上でどんな所に重きを置こうか考えました。自分は多摩美術大学で学ぶことができて、こうして卒業できるのは全て母のおかげだと思っています。決して裕福な家庭ではなかったですが、無理なく学校生活に励め、制作ができました。卒業制作という大きな区切りで、日常の感謝を軸に作品に残したいという思いから、今回の卒業制作「親子」という作品を制作いたしました。

担当教員によるコメント

コンセプトは、本人の経験してきた内面にあることのようだったのだが、本人の説明が明快で話がどんどんこちらに伝わってくる。一般的には作者の内面イメージは、抽象度が高く複雑で他人には伝わりにくいため、プレゼンでもがき苦しむ学生を多く見てきた。しかし、遠藤さんは全く違っていた。まるで経営計画の会議で上司に説明するかのようで、ハキハキと話が矢継ぎ早に続く。わからない部分があったので、問い返すと「自分もわからないので、サンプルをつくり、自分がわかるようにする」と、正攻法を話す。カラフルでテキスタイルならではなテクスチャーが詰まった5ルックは、本人の思いが圧縮しているかのような素敵な作品で、写真は本を想定したレイアウトが見事だった。最初から最後まで創作が首尾一貫しており、優れた雇用を生み出せる未来の経営者になって欲しい。

教授・藤原 大

  • 作品名
    親子
  • 作家名
    遠藤 治美
  • 作品情報
    素材:麻、ウール、ビニール、綿、ポリエステル、染料、柿渋染料、漆喰風ペンキ、レーヨンゴム糸、レーヨン平ゴム、透明糸、ウーリー糸、ナイロン糸
    技法:浸染、熱転写プリント、編、ミシンステッチ、縮絨加工、キルティング、絞り染、柿渋染、織、二重織、ダメージ加工、塗装加工
    サイズ:5体
  • 学科・専攻・コース