ナラティブとダイアログ
小島 平莉
作者によるコメント
私は人と話す時、私の中の物語が組み変わっていく、または自ら組み替えている感覚がある。言葉が自分の中に入り込んできて、相手との境目が少し曖味になる。一方で、私は自分の輪郭を捉え直し新たな形に整えている。会話の中に散らばった言葉と感覚の断片を集め、時には切り貼りして、自分の物語が出来上がっていくのだろうか。そのプロセスを意識的に繰り返し、素材とものと対話しながら制作した。
担当教員によるコメント
小島さんの卒業制作の背景には、英国グラスゴーでの学生寮の生活がある。コロナ禍の人流抑制を経た国際色豊かな仲間たちとの交流から「人を知る喜び」が溢れている。日常を切り取った写真を用いデジタルツールで即興的にドローイングを繰り返した。そこから多様なテキスタイル素材と技法を自由自在に、思いついたまま立体的に組み上げては壊し、フィジカルに「ものとの対話」を深めた。いきいきとした会話の中の言葉の往来に、小島さんのもどかしさと興奮のようなものが作品の中に活力を作り出しているのではないだろうか。そして、ごちゃ混ぜのように多彩なテキスタイルを構成した荒削りな面白さに、意見の衝突を恐れない彼女の姿勢と、人間を信じ寄り添おうとする温かな眼差しを感じる。
教授・川井 由夏
- 作品名ナラティブとダイアログ
- 作家名小島 平莉
- 作品情報素材:ポリエステル、綿、ウール、古着、古布、ウルトラスエード®︎
技法:織、熱転写プリント、染、インクジェット、ミシンワーク、オパール加工、シルクスクリーン、箔プリント
サイズ:H3300×W5500×D300mm - 学科・専攻・コース
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