made up of 'waters'
小林 かのん
作者によるコメント
私たちは、共存社会で暮らしている。
その生活の中で、私たちはどれだけ外的要因に振り回されているだろうか。
年齢、性別、職業、立場、役割、環境、身体的特徴、服装、振る舞い…、そういった外的要因を元に、目の前の相手を自分なりに解釈し、どんな人間かを見定めている。しかし、もちろんそこで認識したことがその人の全てではない。誰しもが、いくつかの人格を切り替え、自身の中に複数の自己を共存させているのではないだろうか。
私たちは、水だ。環境によって姿かたちは流動的に変化し、見せる表情は常に多面的だ。一つの言葉では掴み取れない曖昧さを抱えている。
では、私という水に、あなたは何を見るだろうか。
私という水から、あなたの水は見えるだろうか。
この作品では、自身の内面をテーマに制作された写真や映像作品を、同じ空間に展開するインスタレーション作品である。そして、その内面が変化する様を見せるために、インスタレーションの形態を解体し、組み立て直すことで変化させる、その過程をパフォーマンスとした作品である。
担当教員によるコメント
小林かのんは、自身が役者をやっているという事が表現において大きな要素を占めている。作品には彼女自身が被写体として登場し、役者という特色もあり、様々な表情や雰囲気を作り出している。この作品において、彼女が演じ分けた自身の中にある数十種類のキャラクターは、自分と他者によって無意識に演じ分けている自分自身の内面そのものであり、演じている彼女自身と、写真や映像を使い分ける事によって、そのキャラクターにある、特出した違いや存在感を感じる事が出来る。パフォーマンスという表現でグラフィックデザインというジャンルを超えるという事よりも、メディアをミックスし、それ自体を自身の身体を使いコントロールし、観客に提示していく。という事がデザインそのものだと思う。彼女にとって、新しい挑戦であり、記念碑となる作品になったと思う。
准教授・平野 篤史
作品動画
- 作品名made up of 'waters'
- 作家名小林 かのん
- 作品情報インスタレーション・パフォーマンスアート
技法・素材:Photoshop、Premiere Pro
サイズ:パフォーマンス時間約45分 - 学科・専攻・コース
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