奥行きの転写
小笠原 勇人
作者によるコメント
物体をインクに浸して拓を取るという行為を、モチーフ1つにつき360方向から繰り返し、映像として再構築しました。大量の手数から生成された物体の姿は決して実物そのままではなく、ヒューマンエラーによって朧げなものとなっています。その不安定で不完全な佇まいと、それを見た人の頭の中で補完される奥行きのイメージを重視して制作しました。
担当教員によるコメント
ものに墨をつけ押し付けるという拓という手法によって構成された映像作品。テクノロジーの進化によって、映像は高画質化・細密化に向かっているが、この作品ではむしろ逆に、色をなくし、輪郭と凹凸のみを抽出するなど、情報を抑制・制限することで、新しい表現を生み出した。その手法によって、視覚情報を、質感や手触りという身体的な情報として感じさせることに成功している。正確に拓をとるために、自分で治具を開発するなど、周到かつ計画的に準備ができたことが、最終的な完成度につながった。
教授・永井 一史、非常勤講師・岡室 健
- 作品名奥行きの転写
- 作家名小笠原 勇人
- 作品情報映像、本
技法・素材:普通紙、顔料インク、プロジェクター
サイズ:H280×W200×D36mm(1点)、H220×W110×D36mm(1点)、H130×W125×D36mm(1点)、H110×W110×D36mm(1点)、H100×W240×D36mm(1点)、H100×W100×D36mm(1点) - 学科・専攻・コース
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