始祖への探求, 運動場

見山 陸生

担当教員によるコメント

芸術はそれ自体が満たされず欠落を抱えているからこそ、人の営みのうちに機能する。見山は、川のすぐそばに建てられ最近解体されたある施設の空地を訪れた。川を挟んで反対側には山があり、その上に観覧車や遊具が動いている。その山に西日が沈む時、その影が空地に覆いかぶさっていくのを見た。観覧車の中心を軸に風景を時計のように回転させた映像と、世界の国歌をサンプリングした新たな祖国の国歌を、意味としての音楽しか知らない自らが歌う。それら映像に組み合わせてかろうじて掲げられているのは、自身のルーツを示す家族旗なのだろうか。いやそれは彼の絵画の出処でもあり、また身体そのものともいえ、世界と芸術における欠落の自明性について、静かにそして強い決意で表現した。

教授・小泉 俊己

  • 作品名
    始祖への探求, 運動場
  • 作家名
    見山 陸生
  • 作品情報
    『 始祖への探求』
    素材・技法:木、モニター、麻布
    サイズ:H200×W60×D60cm

    『 運動場』
    素材・技法:キャンバス、油彩
    サイズ:H225×W182cm、H256×W163cm(2枚)
  • 学科・専攻・コース