endorphin, homo
中村 佳世
担当教員によるコメント
絵具に浸されたティッシュペーパーの層が、掻きむしられて出来た作品「endorphin」。この仕事の根拠は自身のアトピー性皮膚炎だったという。痒みを抑える手の快楽は、同時に痛みの確認でもあるだろう。出来たばかりのかさぶたのように輝き留まる薄い紙の層が、まるで新しい生命体のように見えてくる作品だ。その拭い難き制作の根拠は、「homo」において木を叩く行為へと展開した。制作時に鳴り響いたはずの激しい音や振動は、もうここにない。傷だらけの木片や棒が、静かな庭のような空間を作っている。形や色を求めてそうなったのではない。それら木片は、過剰な確認作業の彼岸に、あらたな反射、あらたな色、あらたな手触りを得て、静かにたたずんでいるのだ。
准教授・石田 尚志
- 作品名endorphin, homo
- 作家名中村 佳世
- 作品情報『 endorphin』
素材・技法:ティッシュペーパー、アクリル絵具、糸
サイズ:H110×W145cm
『 homo』
素材・技法:木材
サイズ:H340×W350×D185cm - 学科・専攻・コース
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