私の在処/無題
鈴木 夢実
担当教員によるコメント
君は自分自身に対して、また他者に対しても痛いほどに正面から向き合い、やっとの思いで何かを獲得し、そしてある時は烈しく傷つく。だからいつもぎりぎりのところで立っているというのが本当なのだろう。でもそんな姿を容易には見せない。かわりにその戦いのすべてを作品に託す。部屋全体に展開する廃木材でつくられた構造物、それらは黒く塗られ、炙られ、切られ、割られ、そして大きく二つに引き裂かれ、相反する事象が共存するこの世界をあらわす。しかし再度それらは鉄製のくさりで括り付けられ、あらたな世界の再構築を予感させる。一見暴力的な表現でも、実は自らに対する真摯な問いかけの集積そのものであって、だからこそ見る側の心に強く迫りながらも、清らかな記憶として残る作品となったと思う。
教授・小泉 俊己
- 作品名私の在処/無題
- 作家名鈴木 夢実
- 作品情報技法・素材:木、チェーン キャンバスに木炭 寸法:H3000×W3500×D7500mm、
H1303×W1620mm - 学科・専攻・コース
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