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大和 春子
担当教員によるコメント
時間の感覚は人それぞれ違っていて興味深い。ある人は川の流れのようだと言うし、またある人はキャベツが刻まれていくように過ぎてゆくと言う。大和の作品を見ると時間についての思いがひろがる。そしてその時間は雪のように画面の上に降り積もっていく感覚だ。大和は記憶を頼りに風景や経験を描いてゆく。その描き方は、一度図像を描いてから白亜の下地でまっさらな状態に戻し、そこから埋もれた形を大胆に掘り起こしてゆく。様々な体験は時間とともに変形され細部をなくし、そのまま放置すればやがて原形を留めないほど薄れてゆく。大和は薄れる記憶に抗うように白亜の画面から大切な記憶を探り出す。小品を断続的に何枚も描くことによって、記憶は変容しながらも受け継がれ、自分の見たい有り様へ姿を変えてゆく。大和の作品は忘れがたき様々な記憶を留める装置なのかもしれない。
教授・菊地 武彦
- 作品名pe
- 作家名大和 春子
- 作品情報技法・素材:アクリル、パネル 寸法:H333×W333〜H530×W455mm(14点)
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