遺却
内藤 彩
担当教員によるコメント
内藤の描く室内風景は身近な現実風景である。校舎の階段や明かり取りなど、描かれた場所に行けば、なるほどここを描いたのだとすぐにわかる。にもかかわらず、その作品は現実感のない得体の知れない場所を描いたように見える。内藤はありきたりな日常の風景を淡々と描きながら、それを見覚えのない不可思議な風景に変容させることに成功しているからだ。
あるコンセプトによって作り上げたものの中に、意図しない全く違った意味を見いだす感性は、様々な美術の形式が出そろった現代には大切なものだろう。その感性が平凡な事物を違った角度から見直し、人々に世界の再認識の示唆を与えるという芸術の役割のひとつに繋がっているのだ。
教授・菊地 武彦
- 作品名遺却
- 作家名内藤 彩
- 作品情報技法・素材:アクリルガッシュ、キャンバス
寸法:H1620×W1940mm - 学科・専攻・コース
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