落ちた後で高みを、一
望月 千暁
担当教員によるコメント
モチーフは望月の故郷、新潟の風景である。特に遠方を望む雪国の風景が印象的であった。しかしその制作で望月はいつも同じ葛藤に苦しんでいた。近景から遠景に至るワイドな画面の前後関係がぎくしゃくする。畑や小屋、雪崩防止柵や標識など、愛情を持った故郷の全てを取り込みたい気持ちが、全体感を希薄にしているからだろう。広大な風景を2次元に置き換える時に起きる矛盾、つまり絵画の平面性の命題に向き合っていたのだ。私はこの作品の途中経過を見ていない。迷いのない早描きだったにちがいない。鋭く斜めに流れるような画面からは、かつての葛藤は消えている。描く前にイメージを充分に熟成させ、作品は忽然と誕生した。イメージの原点はやはり、雪国の生活そのものから来ていると思う。
教授・室越 健美
- 作品名落ちた後で高みを、一
- 作家名望月 千暁
- 作品情報技法・素材:油彩、キャンバス
寸法:H2273×W1818mm - 学科・専攻・コース
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