与える構えを持つ作家, シェル・シルヴァスタインについて
美山 泰人
作者によるコメント
分野の垣根を越えて活躍した米国の作家、シェル・シルヴァスタインは、「与える」「与えられる」といったテーマで創作をした。それに留まらず作家自身も、本当の意味での「与える」という行為を、自然のうちにしていた。本稿では、シルヴァスタインの児童書作品、“The Giving Tree”を読み解きながら、シルヴァスタイン独自の「与える構え」について考察する。
担当教員によるコメント
コミック作家、ソングライター、詩人、戯曲家、小説家、歌手など、多様な活動をしたアメリカの作家シルヴァスタインについて論じた。サンタクロースに似た、一方的に不特定多数の読者に対してなにかよきものを気前よく「分け与える」構えを見出し、これにそって、とくに絵本作品を論じていく。ここでいう「与える」は、人類学的にいわれる「贈与」の観念を暗示する。作家の全体像が紹介しきれていない憾みや、絵本を論じるところが単線的または平板になった感があるところは惜しいが、作家の美質を丁寧に紹介し解析していく中で、そのサンタクロースぶりがごく自然に読む側にも実感されてくるのが、論文自体の美質である。
教授・平出 隆
- 作品名与える構えを持つ作家, シェル・シルヴァスタインについて
- 作家名美山 泰人
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