絵画における酔っぱらい表現
前里 さくら
作者によるコメント
絵画に登場する酔っぱらい像に着目し、時代ごとでどのように酔っぱらいを描いているのか見ていく。飲酒は人間に安らぎを与え、開放的な気分にさせる。古代ギリシアは冷静に酔っぱらい、中世は体の動きで酔っぱらい具合を表現し、17世紀オランダは陽気な酔っぱらいから愛の売買のために飲酒する人物など幅広い酔っぱらいが主役となる。近代ではアルコール依存となった酔っぱらいが複数登場する。一言で酔っぱらいといえど、酔っぱらい像の表現方法は様々である。
担当教員によるコメント
「卒業論文」では、たんに文献を読んでまとめるのではなく、学生自身の小さな「発見」を大事にするよう指導しています。鴨居玲の酔っ払い作品が好きだという前里さんに、「酔っ払い図像」を多く集めるよう課題を出したところ、じつに丹念に、古代ギリシアの飲酒の情景、17世紀オランダの「メリー・カンパニー」と呼ばれる宴会図、近代絵画に見られる孤独な飲酒など、想像以上に多様な図像群が集まりました。それらを分析したところ、「酔い」への眼差しが時代や社会状況によって変化することがわかりました。その成果をどのように文章にするかが難しいところですが、前里さんは自分の言葉で丁寧に表現しています。とくに絵画作品のディスクリプションは秀逸です。
教授・金沢 百枝
- 作品名絵画における酔っぱらい表現
- 作家名前里 さくら
- 学科・専攻・コース
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