鳥になる 海になる この身体になる

藤生 百音

作者によるコメント

これまでは、鳥や魚といったモチーフに自身を重ね合わせ、喰うものと喰われるものとの間、与えること、与えられることなどをテーマに制作してきました。
私という人間は、喰われる命であると同時に、他者や他生物の命を喰っているのです。

他者であったもののかけらが、与えられて、私の身体になっているのだと感じます。
そしてまた、自分の細胞は何かになれたのだろうかと考えます。
他者の命を吸い込んで自分の一部にし、自分の命を他者に明け渡し、犠牲になり合いながら生きていく、“流れ”をこの作品で描こうとしました。

担当教員によるコメント

鳥や魚などの生き物をモチーフに、ユーモラスな画面構成で自己と他者、生命との関係を表現している。特に人間という存在が喰うことと喰われること、与えることと与えられることの二面性を強調し、他者の命が自己の一部になっていくプロセスを描写している。
《鳥になる 海になる この身体になる》は単一画面で構成されるのではなく、コンセプトの「流れ」ように複数の場面を描くことによって、さらに一連の想像・創造が溢れている。人間の存在と他者との関係性に深く洞察を示しており、生命の複雑な連続性と相互依存性について考えさせる秀作である。

講師・陳 芃宇