影よりも、はやくおそく/今日と月
並木 咲
作者によるコメント
空っぽの箱には色んなものが入ります。テトリスのように綺麗に入れば気持ちが良いし、ごちゃごちゃ入れると思ったより量が入りません。うまく入らなかったら箱の形を変えられるかも知れない。
ずっと、自分は空虚でつまらない人間だと思っていました。でも違う言い方をすると、何にでもなれるということ。何も特別ではないけど当たり前でない、ひとりの人間の生活がただそこにあって、自分以外の人間によって初めて成り立っている。私はあなただし、あなたは私なのかも知れません。
そんなことを考えていたらやっぱり絵を描いていて良かったと思います。
いつも支えてくれた方々へ、出会ってくれてありがとうございます。
本当にそれだけです。
担当教員によるコメント
海はいい。みんな好きだ。空もいい。そんな、みんな知っていることを、どのように表現すればいいのだ。そんなことできるのか?そのような無力感を前に、並木咲は絵画や映像、インスタレーションなど、さまざまな表現を試みてきた。それらの作品は質、量ともにかなりダイナミックでありながらも、ことさらに自分ならではの視点や斬新な切り口を提示することなく、強い言葉を振りかざすでもなく、嘘のない表現を追求してきた。
並木咲はひたすら海に通い、空を見上げ、自分は何をするべきか問い続けたであろう。かつて、人は文字を使うようになる前は神の声を聴くことが出来たというが、並木咲は、そこで海や空の声を聴いたのではないだろうか。
教授・吉澤 美香
- 作品名影よりも、はやくおそく/今日と月
- 作家名並木 咲
- 素材・技法映像/パネル、油彩
- サイズ可変/2980×13350mm
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員