決してこの身で知り得ることのできないこと

松澤 薫

作者によるコメント

「絵を描く」という行為をする以前にある、たしかな事実。それが、「絵を描く」とはまた別の、油絵の具をキャンバスの上にのせる動機になる。

担当教員によるコメント

正直に描く事。この事に松澤さんはある時覚悟を決めたんだと思った。例えば赤い絵の具を沢山パレットに出して、太い筆で迷わずしっかり大きいキャンバスに長いストロークを引くと強い赤い線の様なものが現れる。

このどうしようもなく当たり前の事が持っている魅力、絵画が持っている根源的な力、を松澤さんはまずは真正面から作品にしている。この身も蓋もないようなエネルギーを気負いもなく当たり前の様に使えてしまうのが優れた画家なんだよなぁ、と松澤さんの絵を見て思い出された。

准教授・千葉 正也