リョンウク/オムマ/ハルモニ

キム スヨン

作者によるコメント

私は主に周りの人たちについての明確ではない記憶を描いています。 私にとって記憶は苦しい時に取り出して見ながら寂しさを慰めることができる大切な存在で、その記憶の中には私の周辺の人々に対する顔が最も大きな席を占めています。 私は相手をはっきり覚えているのではなく、その人と一緒に過ごした時間と雰囲気や私との関係性を見せてくれる特徴も覚えています。 私は結局、私を見ている人々が私自身を表現してくれていると思います。

担当教員によるコメント

キムスヨンは、家族や身近な友人をモチーフに、自身の記憶するそれぞれの人物像のリアル性を追及しています。人物の事実や細部と記憶の関係性において、キムにとって祖母を捉えるために必要なアイテムは帽子であり、母は手、親友は髪でした。実際に人物の顔かたちへの認識はふんわりしたもののようで、彼女の捉える人物のイメージには、顔の特徴以外へのカリカチュアな眼差しが感じられます。
またキムは、リトグラフの作版において、手描きの他に写真製版も取り入れています。解像度を求めない写真の効果は、キムにとってより真実の記憶をクリアなものへ誘い、印象深いアイテムを強調しながらも実態とのバランスを図ることで、よりリアルなイメージを模索していきました。これらの研究は、完成度のみを追及するものではなく、様々な試行錯誤と実験は繰返し行われ、それは非常に集中力を要するものでした。その制作姿勢と作品成果を大きく評価し、次への展開を期待しています。

教授・佐竹 邦子

  • 作品名
    リョンウク/オムマ/ハルモニ
  • 作家名
    キム スヨン
  • 素材・技法
    リトグラフ、PS版
  • サイズ
    リョンウク=H930×W720mm
    オムマ=H1440×W930mm
    ハルモニ=H930×W720mm
  • 学科・専攻・コース
  • 担当教員