AEROLITE

作者によるコメント

このモビリティが活躍するのは2040年の自動運転が普及した世の中。200年を超える自動車の歴史の中で、常に自動車は造形美で人々を魅了してきた。箱型の普遍的な自動運転モビリティが溢れる中で、私は“走る彫刻”を目指し未来のオープントップスポーツの造形研究を行った。
マシンを操る楽しさを後世に継承し、自動運転技術のメリットを最大限活かす。
自動運転によってマシンの自走が可能になり、乗車空間は車内に格納され流麗なフォルムが人々を魅了する。迎えを呼べば、自動車は走る彫刻としてユーザーの前へ現れる。
車体に触れると車内から乗車空間が現れ、新世代の人々に心高鳴るひとときを与える。

担当教員によるコメント

この作品は完全自動運転EV、いわゆるレベル5時代を想定し、その乗り物にフォルムの美しさと愛着の湧くスタイリングを与えることに挑戦している。そもそも工学部系高校の出身でメカニズムに詳しい作者は、初めは機構部分に注目していたが、昨今の加速度的な技術革新を感じて、彼の言葉を借りればより純粋な「走る彫刻」を目指して造形をまとめた。近未来のEVの一つの方向性は「レベル5の箱」が安全に目的地に移動することに収斂すると思うがそれだけでは寂しい。自動車文化には多くのロマンやエモーションが存在する。この作品はそのロマンに対するZ世代の回答だ。造形が有機的過ぎず、ジオメトリックデザインであるところも興味深い。作者のカースタイリストとしての活躍が期待される。

教授・田中 秀樹