「描く」を楽しむ描画道具

高橋 亜矢奈

作者によるコメント

描くはテクニックがあることが前提で、基本的な学びを下地になることが多く、訓練することでの経験値や知識が必要だと感じやすい。その為、敷居が高いと感じやすく「描きたいけれど下手だから描けない」と抵抗感や壁を感じる人からこんな声を耳にする。そこで描きたいけど描けないと感じてしまう「描きたい」という感情を持つ人に向けて、技術や経験値が必要なく、達成感を感じられる描画道具を制作。空気を送る簡単な動作で描け、ノズルを変えることによって、描画の表現を増やせる。また普通絵を描く時には、個人作業になりがちだが、描いている最中にも会話が生まれ、対等な立場で描けるという点から、コミュニケーションまでも生み出せる新たな価値を生み出している。

担当教員によるコメント

文章を書くには文字を覚えて筆記具を扱う技術や読んで理解する力が必要だが、絵というと何も教えず何も覚えずが自然で良いことのように思いがちではないだろうか。本物そっくりに描く技術は多くの人が称賛するが、うまく描く技術と子どもらしさは相容れない印象なのだろう。この作品は、子どもの頃(うまく描きたいのに)うまく描けなかった経験から描く行為と離れてしまった人々を、もう一度描く世界の楽しさに誘おうというアイデアである。単純な機構の道具が使用者の緊張をほぐし、描きながら描かれた結果を観察しながら道具を扱うコツを掴んでいく。想像を超えた偶然の表現が起こることでポジティブな受け入れと創造が生まれる。道具と習得、達成感の体験の勘所を巧みに設計している。

教授・大橋 由三子

作品動画

1分37秒
  • 作品名
    「描く」を楽しむ描画道具
  • 作家名
    高橋 亜矢奈
  • 素材・技法
    素材=木材、紙(コルドバ)、アクリル、紫外線硬化レジン
    技法=3Dプリント、レーザーカッター
  • サイズ
    道具箱=H200×W310×D60mm
    ポンプ=70×50×130mm
  • ジャンル
    描画道具
  • 学科・専攻・コース
  • 担当教員