ギザギザの探求

上柳 夏海

作者によるコメント

連続したV字カットというシンプルな加工によって生まれるギザギザは物の印象を大きく変化させる。ギザギザから生まれたブレやモアレを探求し、不思議さを演出するテープを制作した。それらのテープを重ね合わせたり、立体にする事によってインスタントなオブジェを作り出すことができる。
色画用紙を張り合わせギザギザにカットすることから生まれたテープは、隣り合う色によって様々な表情に変化する。ハレーションやグラデーションなど様々な現象を同時に感じられることによって、素材感や遠近感を不思議にさせている。ピッチの細かくなったギザギザはテープと空間の輪郭をぼかし、空間に違和感を差し込む。ギザギザから生まれる現象は見る人の動きに合わせて変化し、見る人を魅了する。

担当教員によるコメント

上柳夏海さんの「ギザギザの研究」は、当初は1本のヒモの研究から始まっている。巻く、縛るの用途からの発展を模索していた中から発見した現象を深く研究した作品である。その為、単なる平面での展開だけでなく、重なる・絡まる・束ねる際の視覚的な印象にもこだわっている。2枚の紙を張り合わせてギザギザ状に加工した作品で、紙の特性と薄さを上手く利用し、厚みを感じさせないことにより、見た者に視覚的、空間的な違和感を感じさせる。さらに裏表で色を変えていることで色の混ざりやコントラストの差が生まれ、より複雑な印象を付加させた非常にユニークな提案である。

准教授・尾形 達

  • 作品名
    ギザギザの探求
  • 作家名
    上柳 夏海
  • 素材・技法
    素材=色画用紙、のり
    技法=レーザーカット、カッティングプロッター
  • サイズ
    サイズ大=H200×W300以上mm
    サイズ小=H120×W200以上mm
  • ジャンル
    オブジェ
  • 学科・専攻・コース
  • 担当教員