Triplet

高見 正剛

作者によるコメント

包まれるような心地よさのあるクッションソファーの特性を活かしながらも、座っている姿や、使用していない時の印象が魅力的に見える在り方をデザインした。沈み込むような柔らかい座り心地を持ち、本体と一体となっているクッションが背もたれ、両肘かけとして姿勢を支えてくれることで、リラックスしていてもだらしのない印象を与えない。内部はフレームがなく、円柱の途中から三等分に割いたような形状をしており、それぞれ独立したウレタンが仕込まれている。中心に腰をおろすと、重心から外側へとウレタンが反発することで三分割された形状が座り方に合わせて体に寄り添い、適度なフィット感がうまれる。

担当教員によるコメント

クッションソファーに体をあずけると、体にフィットしリラックスできるが、どうしても少しだらしなく映ってしまう。高見正剛さんのクッションソファーの提案は、そのようなリラックスの個人的空間と公共性の高い空間、双方で対応できるユニークな佇まいをもった作品である。ソファ中心部に体を預けた際のクッションや布地の収縮移動を利用した機能は想定だけでは実現できず、そこには素材選定や詰め込む割合の変更、カバーのカットパターンの検証など、いくつものサンプルと実寸検討を要する。この検証を短期間にいくつも実施できる高見正剛さんの作業量と持久力を高く評価したい。

准教授・尾形 達