おもいでの中の子どもたち

浅谷 香

作者によるコメント

年齢を重ねるにつれ、子どもの頃のような無邪気さ、一つのことに没頭できる自由を無くしていく気がする。誰しもが一度は体験するような、ありふれた子どもの頃の日常をモチーフにパターンを作成して、大人になってゆく人たちに向けて子どもの頃の思い出を表現したシルクスクリーン作品を制作した。
大人になりながらも子どもの頃の思い出や好きだったものに浸り、過去からの時間の流れを感じる作品を目指した。

担当教員によるコメント

軽やかで可愛らしい印象の浅谷香さんの作品は、シルクスクリーンプリント技法の特徴を巧みに生かした秀逸なテキスタイルデザインです。4つのデザインはそれぞれ子供が遊ぶ姿をモチーフとしていますが、色面をリピートさせるもの、細い線をリピートさせるもの、太い線をリピートさせるものなど、モチーフをつなぐ要素を変化させることで、記憶の中の風景の特徴を捉え、観る人を楽しませる表現となっています。また版をリピートさせる際、色が重なる部分ができるのですが、その重なりをデザインに必要な要素として扱うことで、少ない色数でありながら多くの色を感じることができます。ひとつの技法を探究し展開させることで、表現の可能性を広げることにつながり魅力的な作品となりました。

准教授・辛島 綾