研究と環境教育のためのペンギンの水族館

永濱 颯太

作者によるコメント

水族館の本分である「生物の研究」と「環境教育」の二面性を重視した、ペンギンの水族館の設計。
5種類のペンギンの生体展示のみではなく、研究室や機械室を公開する動線と、目の前に広がる水平線を切り取って見せる空間を各所に設ける。
人々は、ペンギンを見て生態と生物の力強さを感じ、機械室を見て人間が生物を生かし、管理することについて考え、水平線を見て遠い海の向こうに暮らす野生のペンギンと、自然環境に想いを馳せる。
水族館で飼育される生物たちが、娯楽の対象としてのみ消費されていくのではなく、貴重な博物資料として責任を持って管理され、社会へと還元されていく事を目指す、水族館の本来あるべき姿を問い直す提案である。

担当教員によるコメント

動物園はひたすら人間都合の施設ではないのか?アニマルウエルフェアへの気付きがきっかけである。あくまでも研究対象としての飼育、ただしそれを閉じた研究施設としてだけではなく、可能な限り一般開放できないか。
この卒業制作の目標はそこにある。この目標の実現には、必ずしもペンギンでなくてもよいとはいえ、愛玩動物として人間都合の動物の象徴として選ばれている。建築メディアには華やかな3次曲面のフォルムが踊る中、
永濱くんのスタイルはいかにも硬派である。目先のフォルムに踊らされることなく、いくつかの飼育空間を縫うように研究者動線と来館者動線を徹底的に分けようとする合理的な設計姿勢には、地味ながらもしっかりと応援していきたいと思う。大学院へ進学すると聞いた。かならずや実りある学びとなることを期待している。

教授・松澤 穣

  • 作品名
    研究と環境教育のためのペンギンの水族館
  • 作家名
    永濱 颯太
  • 素材・技法
    素材=チップボール、スチレンペーパー、アクリル板、MDF、スタイロフォーム
  • サイズ
    模型①=H300×W1800×D600mm
    模型②=H100×W300×D600mm
  • ジャンル
    設計
  • その他作品情報
    計画地:千葉県勝浦市
    模型①:1/100
    模型②:1/2000
  • 学科・専攻・コース
  • 担当教員