風景から生まれる建築

佐藤 佳代

作者によるコメント

この土地は古くから人々の生活と密接に結びついた場所です。人々は建築に使う木材を採取し、山菜やブドウを収穫し、狩猟しました。牛や馬を放牧し、草を刈り、水を得ました。何よりも、生活に必要なものが手に入る場所でした。また、この地は宮沢賢治の童話の舞台でもあります。賢治はここで人間界と異界、現実と非現実の世界を行き来し、人間の在り方を考え、実践しました。
卒業設計では、人々が再びこの場所で自然を学び、遊び、ものづくりをする場を計画しました。時代の変化により、世界がシンプルで豊かな価値観に向かっている中で、土地の素材を使って建築をつくり、地域で手入れしていくことで、地域のアイデンティティを守り続け、人々に寄り添う建築を目指しました。

担当教員によるコメント

作者の生まれ故郷の山間を敷地として、地場の強みを将来に生かす設計をしている。ここに至る半年前、ヨーロッパを一人で周遊する旅に出かけている。その中でもスイスの建築家ピーターズントーのアトリエを訪問したことは、本作に多大な影響を与えている。スイス山間の記憶は、そこにあるべくしてある建築へと向かわせた。敷地に選んだ場所は強風によって樹木が育ちにくく、風が吹き抜ける草原となっている。この緩やかな傾斜地は、山肌を感じられる自然界が生んだ更地である。ここの場所性、あるいは風景に対して、どこにも人為はみられないし、そういったものは必要としない自然そのものがある。自然が生んだ場所だから「風景から生まれる建築」というタイトルに至ったのであろう。

教授・米谷 ひろし

作品動画

3Dウォークスルー (3分18秒)
  • 作品名
    風景から生まれる建築
  • 作家名
    佐藤 佳代
  • 素材・技法
    素材=MDFボード
    技法=レーザー加工
  • サイズ
    全体模型=H180×W900×D700mm/部分模型=H200×W620×D520mm/部分模型=H280×W220×D400mm
    配置図=A0/図面=A3(20点)
  • ジャンル
    図面・模型・動画
  • 学科・専攻・コース
  • 担当教員