留学生レポート

留学生レポート 多摩美から海外へ 2022年度

南雲 未希

南雲 未希
南雲 未希

大学院 絵画専攻 日本画研究領域

留学先 国立台北芸術大学(台湾)

私が国立台北藝術大學(北藝大)を選択した理由は、水墨画の盛んな台湾で筆や墨の扱い方を学び、絵画表現の幅を広げ、作品を変えていきたかったからです。

専門分野について

交換留学中は、筆と墨を使う制作実技の授業を主に履修しました。自己紹介として今までの作品を台湾の先生に見せた際、線の要素が少ないと指摘を受けることがありました。このような指摘を受けたのは初めてで大変驚きましたが、実際に台湾の学生とともに授業を半年受け、先生のデモンストレーションや学生の作品を見て、台湾の絵画(美術教育)において線の意識が非常に高く、私とは違った視点から絵画を見ていることを実感しました。線を重視した台湾の絵画と、光と影を色彩の面で作り上げていく私の作品とはかなり違いがあり、その違いから課題など思うように描けないこともありましたが、留学以前よりも線の良さ、面白さを感じ取れるようになりました。筆と墨を使って線でモノを描く時間を多く取れたこの留学は、線への意識を高められた貴重な機会になりました。

また、多摩美で日本画を専攻する私が台湾の学生との絵画表現の違いをより一層感じられたのは、膠彩畫(日本画)の授業でした。台湾にも岩絵具や水干絵具といった一般的な日本画材が売られていていましたが、日本よりも種類が限られていました。水墨画の影響、そしてこの限られた画材の影響もあるのか、台湾の学生が描く絵は日本の学生とは違った魅力があり、とても新鮮に映りました。私にとって、質感の強くない墨や水干絵具でモノとモノを描き分けることはとても難しく、これまでいかに自分が岩絵具そのものが持つ質感に大きく頼った制作をしていたと痛感させられました。画材の特性を活かして描くことも絵画表現の一つではありますが、自分自身の描き方で画面を充実させられるよう、モノとモノの質感の描き分けを習慣づけていくことがこれからの課題です。画材の質感でも、自分の描画でも、画面をつくれる描き手になりたい、留学を通して新たな目標ができました。

その他(異文化交流など)

留学中、何よりも好きだった時間は、台湾の友人と一緒にご飯を食べ、おしゃべりする時でした。少し癖のある学食を食べ、翻訳機を使ったり、筆談したりしながら、くだらない話から真面目な話まで沢山話しました。私の不慣れな中国語にも関わらず話を聞き、ゆっくり話してくれる、親切な友人がいたおかげで留学生活がより楽しく、思い出深いものとなりました。


チョ ウォンギョン

チョ ウォンギョン
チョ ウォンギョン

情報デザイン学科 情報デザインコース

留学先 ベルリン芸術大学(ドイツ)

私にとって留学とは、「新たな挑戦」ではありません。小さいころに留学したマレーシアのオストレリア国際学校への留学が一度目、多摩美術大学への留学が二度目の留学になります。これまでの充実した留学経験から、多摩美の交換留学プログラムに参加すれば、さらなる豊かな経験を積むことができると考えました。結果的に、ベルリン芸術大学への交換留学では、想像を超える素晴らしい経験を積むことができました。

言語について

私が得意とする英語は、ベルリンでの生活にとても役立ちました。グローバル化が進む今日、英語力は学習や交流に必要不可欠なスキルです。しかし、ドイツ語については、使いこなせるレベルまで到達していなかったので、とても苦労しました。幸い、私は語学勉強が大好きなので、楽しみながらドイツ語学習を続けることができました。ベルリン芸術大学では、毎週ドイツ語の授業を受けました。ドイツ語が公用語であるベルリンで、ネイティブの先生からドイツ語を学べたことは、かけがえのない経験になったと思います。

専門分野について

多摩美では情報デザインを専攻していますが、ベルリン芸術大学留学中は広告とキャンペーンデザインに関するコースに所属しました。元々興味がある分野であったことにくわえ、留学時期に開講されていた授業テーマに惹かれたからです。単刀直入かつ抽象的な表現になりますが、このコースでの学びはとても良いものでした。取り上げる内容が非常に幅広く、自由な雰囲気があることが特徴的でした。学生たちの多種多様な作品を見ることができ、広告とキャンペーンデザインについての理解を深めることができました。ベルリン芸術大学での学びは、私の専門である情報デザインにも活かせるものだと確信しています。

その他(異文化交流など)

ベルリンは国際都市であり、ベルリン芸術大学も国際的です。6か月の留学中、ドイツだけではなく、多様な文化的背景を持つ人々と出会いました。彼らとの会話を通じて、世界に対する理解を広げ、自分に対する理解を深めることができたと思います。また、休暇を利用して、ヨーロッパ各地を旅行しました。このような経験を通じて、芸術文化はもちろん、歴史や経済など、本当に色々なことを考えることができました。私は、交換留学中に学んだことが、これからの私の制作活動にどのような影響を与えるのか、とても楽しみです。