どことなく
上岡 安里
担当教員によるコメント
「眼に映る人々は本当にいるのだろうか。眼に映る物事は本当に存在しているのだろうか。」と上岡安里は吐露している。自分が認識している世界の真偽のほどがわからなく感覚、まことといつわりの不確かさへの戸惑いは何人にも訪れる。作品を作ることで、彼女は模糊とした自分自身と周りの世界を確かめようとしている。彼女が目前にしている物は自ら作り出した、自身の写し鏡である。物と自身の距離を確かめるように、数えきれない自作の磁器製小粒をスタイロフォームの躯体に丹念に貼り付けるその行為は悲痛さを伴っている。作り手である彼女自身の確かさへの希求の蓄積とその結果を我々は目にしている訳である。こちらのいささかの戸惑いは、彼女の当惑とは裏腹な作品の確かな力強さ故かもしれない。
教授・井上 雅之
- 作品名どことなく
- 作家名上岡 安里
- 作品情報技法・素材:陶、スチロール
サイズ:H1000×W1700×D1005mm - 学科・専攻・コース
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