FREE, Cold - blooded
瀧澤 美希
担当教員によるコメント
瀧澤さんの作品において、最も特徴的なのは、その身体的な波動とも呼べるジグザグに動く筆触である。大作〈FREE〉において、この波動的な筆触が、巨大な画面全体を縦横無人に動きまわり、オールオーヴァーでインパクトのある空間を破壊的に構成してゆく。複雑かつ豊饒に絡み合った色彩の群れが、余白と見事な緊張感を保ちながら観る者を圧倒してゆく。作者によれば、かつて彼女は日常的な社会生活や学生生活において様々な息苦しさを感じており、そのような被拘束感からの離脱を試みるべく絵に向かったという。身悶えするかのような激しいジグザグは、身体の悲鳴的麻痺反応でもあるだろう。反応の感情のストレートさが、その被拘束感の強さを物語っている。女性がおかれている状況は、かつてより改善されたとはいえ、社会は無意識を装ってその拘束を強めようとしているのかもしれない。瀧澤さんの〈FREE〉や100号サイズの〈Cold-blooded〉という作品における抵抗は、芸術の存在意義を考える時に、多くの示唆と希望を与えてやまない。抽象絵画というものの可能性をめぐって。
教授・中村 一美
- 作品名FREE, Cold - blooded
- 作家名瀧澤 美希
- 作品情報『FREE』
素材・技法:油彩、キャンバス
サイズ:H200×W380cm
『Cold - blooded』
素材・技法:油彩、キャンバス
サイズ:H160×W130cm - 学科・専攻・コース
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