あそびじゅつ
展覧会では、連動する企画として本学生涯学習センターの協力を得て、2013 年 8 月 21 日、多摩美術大学八王子キャンパス TAU ホールにて小学 1 ~ 6 年生を対象とし、鑑賞教育の講座『「つたえたいこと」、カンバンにしてみたら、なに見える!?』を開講します。
本研究は、1999 年にセゾンアートプログラムの教育普及プログラム「あそびじゅつ」への協力をきっかけに始まりました。美術を鑑賞する楽しさを子ども達に伝えることを目的として、2001 年からは本学生涯学習センターでの講座を中心に多くの試みを展開しています。当企画室においても本展監督を努める海老塚耕一を軸として、子ども達が創作や鑑賞を通してさまざまな発見を得る機会となるよう模索しています。当初は、教材ツールの開発・普及や子どもを対象とした「鑑賞の手引書」を発行していました。
しかし、教材ツールという一定の枠を押し付けることに疑問を抱き、より子ども達の自主性を重んじた形を目指すようになりました。2001 年からは本学生涯学習センターの講座を中心に、全国の美術館やギャラリー、小学校などで実践的な鑑賞教育を展開しています。「あそびじゅつ」を通して、鑑賞教育の意味とその行為を考案し、実践している私たちにとって、本講座を行うことは、これからの鑑賞教育についての考察を深めていく上でも、意味あるものと考えております。
今年度は、自分の「つたえたいこと」を伝達する手段として様々な方法と素材を用いて、捨てカンバン、立てカンバン、吊りカンバンをつくる講座『「つたえたいこと」、カンバンにしてみたら、なに見える!?』を開講します。カンバンの主な役割は、不特定多数に向けて内容を伝えることです。そんなカンバンには、多くの人に見てもらえるようにいろいろな工夫が施されています。文字だけが記されたカンバンもあれば、字や絵、写真と組合わさったものなど、様々です。例えば既成の捨てカンバンを使って制作すれば、同じ規格のものがそこに描くものによって異なった意味を持ったカンバンになることを体験できます。また、カンバンの在り方も多様で、壁を支持体とするものや、自立するものなどがあります。立体として自立する立てカンバンの制作では、どのようにすれば自立するのか工夫する必要もあります。また吊りカンバンならば、それをどのように吊り下げるか工夫し、吊り下げられたカンバンが風に揺れてどのように動くかまで考えることが必要となります。
さらにこのように様々に工夫し、つたえたいことを表現するためにどういった方法が有効であるのか考えていくことは、デザインの意味を考えることにも繋がります。
多様な「つたえたいこと」を可視化し、みんなでつくったカンバンの森を鑑賞し、歩くことで他者のメッセージや工夫といったものを発見していく鑑賞講座です。