僕は、現物のものとして、触れられるものとして、それがいいかどうかという見方をしているんですね。例えば、同じ表札であれば、買ってきてもいいという発想もあるんですけど、そうではなくて、彼自身が手をくだしてつくって提示することで、ものとしての強い働きかけが生まれて、彼の考えが伝わってくるんだろうな、と。テキストだけを並べていくのとは違って、そこに実体があるから面白いんだろうというのが実感です。
「ゆるぎない」というのはそういうことで、手を使ったり、粘土を介して手を使ったりしているあいだに、自分の考えが何ものかに変わって、ものが伝えるという、そういうことかなと考えています。
ただ、何かを見るときに、ジャンル分けしなくてもいいのは確かですね。やきものを使って、自分の手でつくっているから、あなたの作品は工芸ですよ、とはならなくてもいいと思います。逆に、それが解体できるくらいの強さが、ものをつくっていくことによって、手に入りそうな気がしてるんです。
|