本取組の概要 | 本取組の選定理由 | これまでの実績 | 取組の有効性について | 特色GP (Good Practice)5つのテーマ


 本学を卒業後、職業人として多くがまず直面することになるマスマーケットへのデザインに対し、大学内では学生の成果の評価を実際のマスマーケットに照らすことは難しく、本学では今まで手つかずであった。しかし今や、目まぐるしく変化する価値観を先取りして、市場を開拓していきたいと試みる企業は、次世代の価値観を担う学生の潜在能力を必要とし始めている。次の価値の先取りである。こうして、デザイナーの卵としての実社会の風上に控えている学生の提案は、社会的に妥当性のあるものとして企業に受け入れられ、実施される。 ここで初めてマスマーケットの中で、エンドユーザーの評価を受けるという仕組みが生まれる。これが地域・社会と連携した産官学共同プロジェクトである。
このプロジェクトは広く全学的な組織に支えられ、様々な学科の学生が参加をし、履修することができる。これは、チーム力を活かした超学科教育により幅広いデザイン提案を行う、革新的なデザイン教育の取組である。


 この取組は、多摩美術大学のデザイン系教育における目標である「専門性と総合性の融 合」の実現をめざし、単学科による先行期間も含め既に19年間にわたって継続的に実施 され、産官学共同プロジェクトとして大きな成果を挙げています。
現在、大学には社会・経済構造、産業構造の急激な変化に対応できる特色ある教育が求 められており、本取組はこうした社会の多様な要請に充分応えることのできる優れた取組 であると認められます。
特に、マスマーケットの中で、エンドユーザーの評価を受けるこ とができる、地域、社会と連携した産官学共同プロジェクトであることについては先進性 も見られ、他の大学、短期大学の参考となり得る好事例であると言えます。
また、この取組には、戦略的デザイン教育の充実などの課題も認められますが、これを 克服すれば更なる発展が期待されます。


ブランド創世型プロジェクト

過去における主なマスマーケットへ向けたデザインプロジェクト
過去のプロジェクト一覧

株式会社ケンウッドと多摩美術大学とのコラボレーション発表会「Happy Feeling?」展

デリドは多摩美術大学とのコラボレーションで企画・開発された、新しいスタイルのお店です。


教育効果
「エンドユーザーの行動や心理の分析」、「マーケットの環境変化の読取り」、「社会のニーズの洗い出し」等々、デザイナーにとって、それらをいかにうまくつなぎ合わせられるかが重要である。しかし今、社会ではその先、狭義のデザイン提案能力にとどまらず、デザインを軸にテクノロジーやビジネスを結びつけ問題解決ができ、新しいマーケットを開拓できる人材が必要とされている。
産官学共同プロジェクトを経験することは、各学科での分野を越えた関わりによって、自らの専門分野を再確認し、その限界と可能性を知ることができる。多岐に渡る提案がそれぞれの担当学生によって同時進行する中での作業は、チーム力の可能性に気づき、統合能力が身についていく。本プロジェクトの履修後の学生の変化は目を見張るものがある。デザインが喚起する造形力にとどまらず、それ以外の様々なことがらとデザインをどう関係づけるのかといった多様な側面ついて統合する手法を身につけ、特にそのプレゼンテーション能力においては格段の成長を見ることができる。履修学生の多くは、成績上位にあり周囲に波及する影響力は非常に大きく、相乗的な効果をあげている。特筆すべきはプロジェクトを行った企業から、事業を継続するにあたり人材を求められることもあり、就職先企業の一つとなっている。また、他社への就職活動に関しても、プロジェクトにおける成果物(作品)は強く印象づけられ、企業の評価・期待も非常に高い。
学内における
プロジェクトの評価
本学では年2回の授業評価アンケートを実施しており、各授業毎の評価が集計される。
内容は
Q1.この授業で学んでいることは多いですか? 
Q2.この授業を楽しんでいますか? 
Q3.この授業は分かりやすいですか? 
Q4.あなたのこの授業への参加度は高いですか? 
Q5.この授業を同じ学科の後輩に勧めますか? 
の5つの設問について5段階評価で行われ、当該プロジェクトは平均値よりもはるかに得点が高く、また、Q1・Q4、とりわけQ5の評価が突出しているのが特徴であり、達成感・満足感がうかがえる結果となっている。
学外における
プロジェクトの評価
最終プレゼンテーション終了後、クライアントがまとめる最終結果報告書こそが、従来のデザイン教育では得られない実社会からの評価である。前出の富士シティオグループと行った新業態店舗開発プロジェクトを例にとれば、企業側スタッフ6名をはじめ、約50人のグループ企業社員による回答の他、100人を超えるパート従業員、300人を超えるヘビーユーザーによる、性別・年代別のデータを得ることができた。学生のデザインとエンドユーザーの評価は、大変貴重な尊い教材であり、各学生にフィードバックすることはもちろん、次回のプロジェクトに活用している。

社会に提案を問い、エンドユーザーの評価がフィードバックされる


特色GP (Good Practice)
5つのテーマ このプログラムには、下記の5つのテーマが設けられています。
1.主として総合的取組に関するテーマ
2.主として教育課程の工夫改善に関するテーマ
3.主として教育方法の工夫改善に関するテーマ
4.主として学生の学習及び課外活動への支援の工夫改善に関するテーマ
5.主として大学と地域・社会との連携の工夫改善に関するテーマ
文部科学省が平成15年度より開始したこの事業は、これらのテーマ毎に優れた教育を実践している取組を選び、他大学に参考となるよう公表するとともに、積極的な支援を行うというものです。
3年目となる17年度は、国・公・私立の大学・短期大学から410件の申請があり、この度多摩美術大学美術学部が選定された「主として教育方法の工夫改善に関するテーマ」(テーマ3)では、88件の申請に対して12件の取り組みが採択されています
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