R・ライトのテーブルウェア「アメリカン・モダン」
Russel Wright
1937
042 ラッセル・ライト(1904〜76)はシンシナティでデザインを学んだ後、ニューヨークにスタジオを設立した。国粋主義的な彼は、ヨーロッパに対する美的劣等感にさいなまれるアメリカの風潮を厳しく批判した。彼は機能主義やアール・デコ、ミッション様式を融合し、バランス感覚のよい特異な作品を次々に発表した。そうした彼の活動を支えたのは、抜け目のないプロモーターの妻メアリーであった。1935年、ライトは事業家アービング・リチャーズと共同でニューヨークに会社を設立し、家庭用テーブルウェアの製造を開始する。リチャーズは、ライトの「モダン・リビング」家具シリーズが成功を収めると、ライトにテーブルウェアのデザインも依頼するようになる。「アメリカン・モダン」と銘打たれた、縁がソフトで有機的な形をしたシンプルなテーブルウェアは、一般的なものと異なり、様々な色を組み合わせたものであった。しかも色の優先順位に関係なく、どの色を組み合わせても調和するようにデザインされていた。このテーブルウェアの影響で、顧客たちは自分で様々な色の食器を組み合わせて使うようになった。ライトは、食卓では食べ物を引き立たせる色使いの食器を使うべきだと考えた。この様々な色のテ−ブルウェアシリーズのデザインは1937年までに完成した。しかし、変わった形状をした彼の食器を製作できる会社を見つけるのに手間取り、小売販売が開始されたのは1939年になってからであった。「アメリカン・モダン」の製品は、ガラス食器に食卓用のリネン、フォーク、スプーンなども加えられ、1959年までに8,000万個が製造された。


【素材】粕薬をかけた陶器

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス